監修:岩田 侑城(株式会社LeapAI 代表取締役CEO)
NECがAI部門長を置く新組織を発足、企業のAI導入判断で見るべき点

NECは、部門長から現場の社員まで全役割をAIが担う「コーポレートAI・Workforce部門」を2026年8月1日付で新設しました。AI活用を個別業務の効率化から組織運営へ広げる動きです。経営企画、DX、AI導入、ガバナンスを担う方に向けて、組織の仕組みと自社で検討する際の確認点を整理します。
何が起きたか
NECは2026年8月1日付で、部門長から現場の社員まで、すべての役割をAIが担う社内組織「コーポレートAI・Workforce部門」を新設しました。Impress Watchが同月12日に報じています。

新部門は、上位から「AI部門長」「AIボード(CxO機能)」「AIマネージャー」「AI社員」という4階層で構成されます。それぞれの役割は次のように整理できます。
AI部門長:組織全体の稼働状況を把握し、管理する
AIボード:AI組織の状況を経営視点から評価する
AIマネージャー:品質やコストなどの観点から業務を横断的に管理する
AI社員:割り当てられた個々のタスクを遂行する
AI社員は固定された存在ではありません。社内から寄せられる業務ニーズに応じてAIマネージャーが都度生成し、必要な役割を任命します。業務遂行の前提として、NECの「Code of Values」、NECグループのパーパス、行動規範、社内規定などの知識や判断基準が組み込まれます。さらに、各AIは不足するスキルを学習し、継続的に更新される仕組みです。
一方、AIにすべてを委ねる設計ではありません。AIが業務を遂行し、人が最終的な評価と意思決定、品質およびガバナンスの統制を担います。NECはこの取り組みを、人とAIの関わり方を検証する「組織としてのAIキャピタル活用の実証」と位置づけています。
なぜ重要か
今回のポイントは、既存業務の一部へAIを追加するだけでなく、AIを前提に組織そのものを設計していることです。NECは、AIを前提とした企業OSや経営オペレーティングモデルへ進化させ、AIネイティブ時代の企業経営変革を進める方針を示しています。
もう一つの重要点は、AIエージェントを部門や利用者ごとに分散させず、生成・稼働・改善を集約して管理する設計です。AIボードとAIマネージャーがこれらを一元管理し、活動の透明性や品質を含む最終評価と統制は人が担います。NECは、業務を新部門へ集約・移管することで、個別にAIエージェントが構築・運用される状態を抑え、安全で統制された活用を進められるとしています。
7月に行われた1カ月間の社内実証では、役員会議に向けた経営分析、シミュレーション、リスク予兆検知をAIが一貫して遂行し、業務時間が約7分の1になったと報じられています。人は、それによって生まれた時間を、より高度な業務へ振り向けられるようになりました。
すべてのAIの活動は、デジタルツイン上に構築された「AI統合マネジメントコックピット」でリアルタイムに可視化されます。AIを導入した数だけでなく、誰が生成し、どの業務で動き、どのように管理・改善するかまで組織設計へ含めている点が、導入判断で注目すべき特徴です。
実務でどう使うか
自社で同様の考え方を検討する場合、いきなりAIだけの部門を作る必要はありません。今回の事例から読み取れる設計要素を、次の4段階で確認すると整理しやすくなります。

1.対象業務とAIの役割を定義する
まず、AIに任せる業務と、人が担い続ける判断を分けます。NECの事例では、AIが業務遂行を担当し、人が最終評価、意思決定、品質、ガバナンスを統制します。「AIを導入する」という抽象的な目標ではなく、実行、管理、評価、決裁の担当を明文化することが出発点です。
2.AIを管理する階層を設ける
個々のAI社員だけでなく、AI部門長、AIボード、AIマネージャーという管理階層が置かれています。自社で検討する際も、タスクを実行するAI、その稼働を横断管理する機能、経営視点で評価する機能を区別できているか確認します。
3.判断基準と統制方法を組み込む
AIが参照すべきパーパス、行動規範、社内規定などを整理し、業務遂行の枠組みに組み込みます。同時に、AIの活動を人が評価できる状態を作ります。NECの事例に照らすと、導入対象の選定だけでなく、活動の透明性と品質をどう確認するかが重要な判断基準になります。
4.改善要求を人とAIへ振り分ける
新部門では週次サーベイを通じ、全AI社員から業務上の課題や改善提案を収集し、AIボードが審議・決議します。AI組織内で解決できる課題は自律的に改善し、データ、権限、ナレッジ、コンテキストの整備が必要な課題は人へのリクエストとして提示されます。自社でも、AIが改善できる範囲と、人の対応が必要な範囲をあらかじめ切り分ける必要があります。
この4段階を通じて確認したいのは、AIの性能だけではありません。役割、管理階層、判断基準、可視化、改善経路が一つの運用モデルとしてつながっているかが、実務上の判断点になります。
注意点
今回確認できるのは、NECが設けた新部門の構造と、7月の社内実証で報告された結果です。業務時間が約7分の1になったという結果は、役員会議向けの経営分析、シミュレーション、リスク予兆検知を対象とした実証に関するものです。あらゆる業務や他社でも同じ結果になると捉えることはできません。
また、名称に「AI社員」とありますが、人の責任がなくなる仕組みではありません。最終的な評価・意思決定と、品質・ガバナンスの統制は人が担います。導入を検討するときは、自律性の高さだけでなく、人が介入する条件と最終責任の所在を確認する必要があります。
さらに、AIが自ら改善できるのは、与えられた枠組みの中で対応できる課題です。データ、権限、ナレッジ、コンテキストの整備が必要な場合は、人へのリクエストとして扱われます。したがって、AI組織を設ければ人による基盤整備が不要になるわけではありません。
なお、国内の大手企業で初の取り組みという位置づけは、記事中でNECの説明として示されているものです。本記事の出典はImpress Watchの記事1件であり、NECの公式発表を独立に照合したものではありません。
まとめ
NECの「コーポレートAI・Workforce部門」は、AI部門長、AIボード、AIマネージャー、AI社員の4階層で構成され、職務定義から実行、改善までをAI自律型で行う組織です。その一方で、最終評価、意思決定、品質、ガバナンスは人が統制します。
企業がこの事例から取り入れられるのは、AIを単発の効率化ツールとして見るのではなく、役割分担、管理階層、社内規定、活動の可視化、改善経路を含む運用モデルとして設計する視点です。自社での検討では、AIに何を任せるかと同時に、人がどこで判断し、どのように活動を統制するかを明確にすることが重要です。
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出典
この記事の監修者

新卒で株式会社リクルートに入社し、HR領域のマーケティング業務に従事。2024年9月に株式会社LeapAIを創業し、生成AIによる業務の自動化とAI動画制作で企業の事業成長を支援している。事業売却の経験を持ち、戦略の設計から実行までを一貫して担う。
※本記事は生成AIを活用して制作しています。内容はLeapAI編集部がファクトチェックおよび編集を行い、 図解・画像は生成AIで作成したもの、または実際のサービス画面を掲載しています。
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